ストライクはこれまで、一貫して宇宙だの世界だのの崩壊を扱ってきました。一人の少年の心象風景が、そのまま世界の運命に直結していたわけです。それが最終話では――(中略)――世界の運命でもなんでもないのに、以蔵は以蔵自身の物語に決着をつける必要が生まれるのです。
ですので、このシナリオに限っては失敗しても世界の運命には影響は出ない、と決めていました。――(中略)――それが大切な日常だからこそ、オーヴァードは命をかけるのです。


小太刀右京、あとがきより)

馬鹿馬鹿しい物語をつむげる人間は、それだけ切ない物語をつむぐことが出来る。
多分、この最終回があったからこそ、私はこの「面白いけれどもわざわざダブルクロスでクロスオーバーをやる意味はあるのだろうか」とまで一度は思ったストライクの世界を全肯定するに至ったのだと思う。
セカイ系神話は既に終焉を迎えた。誰もが抱えている「ここではないどこか」へ行きたいという願いを、PLによって一方的に体現された以蔵が全て叶えてもなお、世界が続いているのだと見せてくれたから。


と、小難しいことをくどくど申すよりは、前半の既存ダブルクロスリプレイキャラの盛大な同窓会やパラレルワールドでの醍醐味の悉くの放出や、帰ってきたロボ子、超人病モルガン、田中天と加納正顕でダブルブラストハンドだからな、のトンチキ道中を楽しんでいるだけでも楽勝で年が越せるだけの濃密さを保持しております。
TRPGプレイヤーならば必読。これが正しい「天プレイ」のやり方です。(正しいか?)


……ま、あの、ちょっとだけ残念なのは唯一常識的というかリアル側な存在であるシャルさんが常に一歩バカ騒ぎから引いた位置に立っていたのが勿体無かったです。
いや、確かにあの人まで暴走したらキャンペーンが収束しなかったというのは重々分かってるんだけどさ!(笑)