■
どれだけ忙しかろうと日々は流れてゆき、気がついたらもう学園祭の日になっていました。
急に舞い込んだレポートや就活の合間をぬって受付の真似事に参加しつつ、場内から漏れ聞こえてくる自分の下手くそな演技の声から耳をそらしていました。恥辱の時間である。
いやあ、でも祭りに参加するのって本当に良いものですねえ。去年は所属してたサークルの執行部が面倒くさがりだったもので何にもしてなかったし。
明日以降に口コミで評判が広がってDVDが売れるといいなあ。
さて、適当に受付業務をこなして祭りを見て回ることにした私の目に飛び込んできたものは
「某声優Mのトーク&ライブ」
……やるなウチの大学は毎回毎回。
そして何故か私の懐には入場チケットが。
例によって例のごとく、実験で同じ班になった時に私の発散するオーラを嗅ぎつけた実行団体メンバーが売りつけてくれたものであります。
「スタンド使いはスタンド使いと引かれあうの法則」みたく、こうなったらこの体質は受け入れて生きていくしかないのか。
別に激烈なファンというわけでもなかったのですがオタクの端くれとしては見過ごすのも勿体無いし、何より学園祭でこれをやるというウチの熱意に打たれて覗いてみた次第なのですが。
感想。
怖いよう。
絶望先生のネタで「一見さんお断り」の回でそんなのがありましたがアレってマジだったんですね。明らかに前方三分の一だけ温度が違うんですよ。何故みんなしてサイリュームを持っている。そのハッピはどこから持ってきた。どうして学園祭のイベントにそこまでマジになって騒ぐのだ。歌に合わせて飛んだり跳ねたりしないで少し落ち着け。明らかに貴方たち学外からはるばるとやってきた参加者どもですね!?
これが会場全域に散らばっていれば「おお、盛り上がってるなあ」と思えるのに少しでも近づきたいというファン意識なのか前方に固まっているから「何かあそこだけキモチワルイ」になってるんですよ。ちょっとした興味だけで来たライトユーザーさん達(私含む)ドン引きでしたよ。女性層も多かったのが驚きですが。
まあ、客層のアレさに目をつぶれば流石本職、非常に面白いイベントではございました。
ライブは熱烈なファンじゃないので知ってる歌が少なかったというのもあるのですがそれでも前方三分の一が頑張ってくれたので非常に盛り上がりましたし、特にトーク。うろ覚えなんですが特に印象に残った話が、
M「私が大学生でこういうオタク系サークルに参加してたとしたらかー、……もうね、男装したいね」
司会「え?」
M「こう、カツラでショートカットみたいにして。んででっかいリュックしょってオーバーサイズのTシャツとか着てドモりながら喋って男だか女だか良くわかんないようなキャラになってサークルに身を置くわけよ」
司会「何でですか(笑)」
M「女の子同士の友情と男の子同士の友情ってちょっと違うじゃない?ほら男の子同士だと部屋に集まって徹夜でゲームしながら雑魚寝、とか出来るけど女の子だとそういうの出来ないし。まあ私はやるけども」
司会「ああ、そういう男同士の友情みたいなのに憧れると」
M「それである時アクシデントで男友達に男装がバレるわけよこう髪がバサーッとか胸がむにゅーとか」
司会「『お、お前女だったのか!』と」
M「いやそこはあえて『……前から知ってたさ。でも、お前はお前だろ』みたいな感じで続けて」
司会「それ何てエロゲ」
M「まあ、そんな感じの学生生活がしてみたいわけですね(笑)」
この切り返しの仕方に惚れた。脚本があったとしてもそういう脚本を組めるところが素敵だ。
と、そんなこんなでまた一人チェックを入れる人が増えたというお話。瀬戸の花嫁見とけばよかった。