何も言えない。
おそらくこのシリーズは終わりのクロニクルを凌駕した存在感を持って私の心の本棚に根を下ろすだろうということくらいしか。
「最終話のような一話目」を目指して書いた、というあとがきが全てを表しているが、まさにこの一冊はどこをどう切り取っても山場でない箇所が見当たらない。最初から最後までクライマックスである。
何かを語ろうとするとそれは語る端からこの書の本来の素晴らしさを貶める言葉になってしまいそうな気がして思わず口を噤む。ので、もう当たり障りの無いことだけ言うにとどめるか。


通常の五倍以上の分量であるとは言え、たった一つのエピソードの中で30人を越えるメインキャラほぼそれぞれに見せ場が存在しているという時点で最早ただ事ではない。
こいつのおかげで「金太郎飴的にクライマックス」を実現為さしめているわけだから超常的筆力である。
個人的に今回で筆頭株主になったのはトーリ、鈴、アデーレ、シロジロ、ノリキ、正純、ホライゾン、二代。ミトツダイラは本格的に惚れ込みました。残念なのは上巻で気に入ってた点蔵の目立った活躍シーンが無かったこと。
そしていつもながら理系人間に頭を抱えさせながらも目を釘付けにする逆転裁判的弁論大会の濃密さ。P297の「(  д)      ゜  ゜」を体現したかのような空気と、そこからの大逆襲がカタルシス数値では最大級。
最後に、第三十四章の挿絵。
ライトノベルでのみ可能であるだろうこの手法は、今までの川上作品からすれば正統進化であろうけれども、それでもやはり脳内でドーパミンが「ぷっしゃああああ」と吹き出す音が聞こえた気がしましたよ。


つーわけで、2が出る前に歴史の勉強しておくからなるたけ早く続刊カモンです!


ホライゾンが文系のラノベならばウィズブレは言わずと知れた理系のラノベ
ファンメイがちょっと出番ない間に田村ゆかりヴォイスのキャラになってる!!(爆笑)
ついでに純珪一さんのモノクロイラストがなんかまるっとした感じになってる!クレア可愛いよクレア!?
相変わらず政治の席ではアホの子なサクラ可愛いなサクラ!
分割されたメインキャラたちは今回もあちこちで個別行動。戦力面でも各勢力が丁度良い感じに三すくみみたいな感じになっていてよろしいな。最強の騎士でもやすやすとは倒せないのが龍というものであるべきです。
半分諦めてはいたけれども平成ライダー的引きでもってまた一年放置プレイ。折り返しの煽り文が実現するのは少なく見積もっても中巻以降になりそうだ。


マクロスフロンティア    Vol.2 ブレイク・ダウン (角川スニーカー文庫)

マクロスフロンティア Vol.2 ブレイク・ダウン (角川スニーカー文庫)

アニメ版よりもアルトの「役者魂」に焦点を当てて描かれていて、より主人公指数が上昇、というか芯が通った、というか。
所々に差し挟まれる色々な薀蓄とSFっぽいのに20世紀くさい日常描写が、さすがカオスフレアの製作者と納得させられるのでありました。
フォールド恋愛のくだりとかガンバスター思い出した(笑)。


主人公不在視点でも基本的にこの世界のノリは変わらないんだなあと思うと安心できますな(笑)。
こういうテンション任せのギャグがメインの作品は、後はどれだけネタが続くかが命綱。クロマティ学園とかボーボボとかの如く。


噂でしか聞いたことが無いけど、初代ファイナルファンタジーでの「リュート」を髣髴とさせるこの展開。
どんでん返しって上手く決まると見せられているほうも爽快なんですよ。