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イヴは夜明けに微笑んで―黄昏色の詠使い (富士見ファンタジア文庫)
- 作者: 細音啓,竹岡美穂
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2007/01/01
- メディア: 文庫
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王道も同系統を繰り返されると流石に陳腐に堕する。ソツが無い分尖り具合が足りないとも言えるのだ。
筋立てとしてはかなり上等に切なさ乱れ打ちなのだが、短い中で主人公級の扱いをさせられている人間が多いもんで慌しいことになっている。せめてネイトかカインツ一人に絞れば分かりやすかったのでは。クライマックスでの盛り上げに繋げるんだったらこいつらのシーンをもう少し増やさないと。かなり痺れる展開なんだから勿体無いったら。
キャラに言及するならミオとクルルの読み分けが台詞で出来ないのもちょっとした問題か。大体同時行動な奴らが見分けがつかないと印象がぼやけるもんなあ。用心用心。
特徴の名詠式が凝っているのは分かるけど、あんまりこだわり過ぎても読者が読めないからワケが分からなくなるのだよね。……でもやはりあの詠唱完了は震えが来るね。
将来性に期待、という感じですかね。上手くすればウィズブレみたく成り得る予感はする。
僕たちのパラドクス―Acacia2279 (富士見ミステリー文庫)
- 作者: 厚木隼,QP:flapper
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2007/01
- メディア: 文庫
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SF的な話だとどれだけ興味深い新理論を組み立てられるかが決め手の一つになる。やっぱりいるんですね、歴史に何の影響も与えない人間って(半泣)。
伏線というか問題解決の鍵は明確に強調されているし、特にミスリードもないのである程度までは推理できるけど、最後の要素だけは状況証拠から導き出すしかない。かなり巧い構成だと思いますな。それにしては文体が軽いのがちょっと作風に合わない気がしたくらいか。もうちょっと硬めの文体だったら大絶賛だった。
時間旅行モノでのツボの一つが「未来の自分との対決」だというのは間違いないが、この時間理論で実現するのは……いや、いいのか?ハルナが分岐原因になった=過去に居たもんで影響を受けなかったし特異体質だから春菜は改変後でも生まれてくると考えれば。
- 作者: 支倉凍砂,文倉十
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2006/02
- メディア: 文庫
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そんな感じの新機軸小説。持ちかけられた交渉が自身にとって損か得か、そしてその天秤を支える論理はいかなるものか。その裏を読み横から天秤に乗せられた金貨を引っさらうというお話。こういうロジカルバトル大好き。
実際諍いが起きるのが多いのは「人類の未来を懸けたうんちゃらかんちゃら」なんぞでは全然なくって「金儲けのネタ争い」なわけだから、ファンタジー世界であるくせに実にリアルなお話と言えよう。劇中での儲け話も原理はインフレ関連で聞いたことがあった(はずなのに思い出せなかったのが不勉強を露呈してる)わけだし。
しっかしホロ可愛いわホロ。人生経験豊富でこちらを手玉に取るだけの度量はあるくせに孤独続きで対人関係が脆くなってる様子がもうアンバランス。相方のロレンスも良いなあ。プロの商人としてはポーカーフェイスと損得勘定のみで動かなくてはならないのに、若さゆえにそれを徹底できないという人間臭さ。
そりゃまあ「このラノベが凄い!」のランキング一位に輝くわ。