という血塗られた背景を背負って観劇してきた作品がコレなわけですが。
カート・ウィマー、あんたもしかしてジャパニーズ・ヲタクだろ。
開始直後のアメコミ乱舞で「ああ、そういう方向性の観劇態度でいいのか」と納得した直後に「あれ、俺はいつの間に劇場版鬼哭街のシアターに紛れ込んでしまったんだ」と本気で思わせる上海義肢公司襲撃まんまの五連抜刀シーン。
007みたいな色変えシステムが服にも髪にも。ヴァイオレット、髪が紫色でミラーシェードしてるとFateのライダーっぽくてステキ。後半になるがリベリオンに続いて勝負服好きだねカート・ウィマー。
重力レベラーと次元圧縮ブレスレットによる物理法則完全無視の出鱈目バトルはマルドゥック・スクランブルのフロートとターンを彷彿とさせ、シックスの詰まってたケースやハイパーソードの抜刀は宵闇幻燈草紙の冷蔵トランクと暗器術を思い出したし。ガン=カタは相変わらず健在の上、終わクロ登場の自動人形が使う重力制御まで応用しているかのような動きを見せるし。
身体検査で拳銃がズラズラはR.O.D.テレビ版の殴りこみを思い出したぜ。熱した銃口で傷口焼灼処理とか、ブレードトンファーガンとか細かい小道具も大好きだ。
なによりラストバトルの無限刃なんか「これ燃えたら面白いだろうなー」と思った直後に燃やしやがって。期待に応えすぎだよカート・ウィマー(笑)。
そんなわけでトンデモギミックが大好物なワタクシは腹いっぱいで劇場を出ることが出来たわけですが、味にまで満足したわけでは決して無い。


各所で言われているように、全人類八重歯化計画(笑)の特性(感染後12年で死亡)が劇中で明言されていないためのちょっとした違和感(弾圧するんじゃなくって積極的にファージになっちゃえば?)がある。吸血鬼をモチーフにしている割には(英語じゃヴァンパイアとか言ってたしな)リスクがおとなしめになっている分悲壮感とかそういうのが足りない。むしろ劇場版555のイメージに近いような気すらした。
他にも「明らかに1VS700の後でエピソード一つ飛ばしただろう」と言いたくなる屋上公園でウフフアハハ(あの演出は明らかに最初妄想として考えていたに違いねぇ)と、「皆殺しだヤッヂマイナー」という一番の見せ場が背景で銃声と悲鳴が飛び交うだけってどこの手抜き深夜アニメだよみたいなガックリ感。しかも性懲りも無くテーマはまた腐敗した権力批判なのか。
とはいえ、ラストの大どんでん返し(ダクサスの方はどんでん返し。あれもあれで死に掛けなのかお前っていうツッコミはある)は全く読めなかったので素直にビックリ。なるほどあの設定だったらお約束シーンが完全に再現できるわな(笑)。やっぱアンタヲタクだろカート・ウィマー。
その分中盤の手抜きっぷりに涙を流すのだが。「ほこりっぽい道」についての語りはきちんと回収すれば母性関連のテーマに一本筋が通ったのになー。


爆笑シーンベスト3
1:幾何学的に並ぶからガン=カタの餌食になるんだというのはどいつもこいつもそうだが、同士討ちしすぎだろブラッド・シノワ
2:髪の毛の長すぎるファージたちの末路。短いファージたちのモブっぷり。てゆか井戸、深すぎ!ロープも長すぎ!
3:完全殺菌消毒済み拳銃って


蛇足ですがパンフレットも面白かったなー。筋が全部余すところなく書いてあるネタバレ満載の戦闘解説に、「だんがんぶくろ」とかあってもまるでおかしくないヴァイオレットのパワーの秘密に迫る怪獣図鑑みたいなコーナー。