• 機甲都市伯林5


繰り返される歴史。それがどれだけ歪でも、何も失いたくないという意志だけは本物で――――だから、それを笑うことは出来ない。
喪ってしまったもののために我を通すものもまた、否定できない。
けれど、最後に選ぶべき道はただ、全てがあるがままでいられるために、正しくあることが出来る道――――



川上稔の作品はとにかく戦闘手段の描き方が面白いのだ。技能(テック)しかり、風水五行(チューンバスト)しかり、この作品の強臓式(アインゲヴァイデ)しかり。
さらに今回特筆すべきは、終わりのクロニクル4と同じく、竜同士の高速戦闘の描写が凄い。高速で流れる雲海を切り裂いて、音速突破の飛行機雲を撒き散らし、光と光がぶつかり合ってはじけ飛ぶ。まるで共に空を飛ぶような感覚だった。

さて、最終巻だけあってクライマックスシーンが怒涛の迫力。トリスタンを止めた後のまさかのラスボス登場からこっち、燃えるシチュエーションが目白押し。ヘイゼルの呼びかけに次々と名乗りをあげる、それまで敵だったものたち(ここ重要)と味方たち。ジャイアントロボ最終回よろしく次から次へと仲間が手を貸しながらラスボスへと接近し、全てに決着を付けるための凌駕発動(オーバーべブアイゼン)として、独逸創世記(ウンライフゲルマニア)を全段詠唱。泣くわ!
そして最後――――新約・独逸創世記(ネオ・ウンライフゲルマニア)と、ラストの見開きで、感情が決壊。
あー、もう一回一巻あたり読み直してどういう事情だったのかもう一度確認しなくちゃあ。

「牙の跡」は虚空牙の落ちた地で、その一つはエコーズ、もう一つがこの「ブリック」。「見えていたのに認識できなかった」のは……ペパーミントの魔術師?

MPLSはブギーポップがいることによって発生している、みたいな事を虚空牙から力を奪ったラスボスみたいな奴が言っていたが……SRXみたいだな。
さて、やたら長生きな伯父さんを持つ霧間凪の明日はどっちだ。