AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)

AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)

みっともないって自覚しちまったから、気づいちまったから、もう二度と戻れないんだよ!

やめてえー! もうやめてえーっ!!
この痛み、「喪失すべき歴史断片(アンタッチャブル・ノート)」を持たぬものには分かるまい……!
幸いにも「奴ら」に遭遇することなく、辛うじて身を隠すしかなかった程度の力しか持たない私ですらこれほど共鳴するというのに、第一線で戦った経験のある猛者はおそらく触れただけでフラッシュバックを起こし精神崩壊するだろう特Aクラスの禁書……!
おそろしい!これはこの世に存在していてはならない悪魔の産物!火を持て!油をかけろ!今すぐに焼き捨てこの世から消し去るのだ!(ノートの方を)


例えば、キョンがもう少しイタい過去を持ち、ハルヒが美少女ではなくしかも大量にいて、長門は口先だけの偽物で、朝倉の介入が武力行使でなく陰湿な虐めであるような、そんな「超現実」的ではなく「超」現実的な世界だとしたなら。あ、みくるは一般人でもなんら事態に影響ないけど。
それでも、彼らは救われるだろうか。


魔法使いも超能力も伝説の戦士も勇者の血筋も全てが全て「自分が特別だ」と信じ込みたいがための幻想に過ぎない。「何者でもない自分」を否定するためだけのにわか作りの虚飾の仮面。「本当に何者かである自分」を作り出すのは、酷く骨の折れることだから。
中身の伴わない上っ面に塗りたくった稚拙なペンキは内情を知る人間からすれば酷く痛々しくてたまらない。それも、かつて書割にペンキを塗ったことのあるものからすればなおさらに。
けれど。その書割が、トリックアートと化すほどに精緻なものであったなら。
何もない空虚な舞台は、確かな「特別な世界」をそこに作り出す。




ともあれ、創作意欲をガンガンに刺激される一冊でありました(爆笑)。やっぱりね、最初から何らかの天才だったり選ばれた存在だったりして「俺TUEEEE」な設定は90年代あたりで寿命を迎えてるわけですよ。設定として「強い」から強いのではなくて感情移入できる程度のレベルでの作品中の行動としてそれを示すというのが(フェードアウト)


ブラック・ラグーン シェイターネ・バーディ (ガガガ文庫)

ブラック・ラグーン シェイターネ・バーディ (ガガガ文庫)

コミック版をほとんど知らないので入門編として買ってみました。ウロブチ節今日も炸裂。「黒衣の男」が異彩を放ちつつ違和感が無いw


ああ、いいなあ、ツッコミだけで一冊読み通せるなぁ(笑)。